企業を経営する目的は利益追求です。調剤薬局も適正な利益を確保しながら、企業価値を高めていかなければなりません。同時に、企業で働く従業員の生活やオーナー自身の生活を豊かにし、地域社会に貢献する姿が理想です。
M&Aと聞くと、企業の乗っ取りや、買収といったマイナスのイメージを持つ人もいるかもしれません。確かに、攻撃的M&Aなどを仕掛けられると、注意が必要です。一方で、企業価値を適正に買取ってくれるなら、従業員の給与などはもちろん、創業者の利益も確保できる、双方が納得できるM&Aを実現させることができます。
創業者の利潤とは、経営の総利益から各種税金や、人件費といった経費の総額を差し引いた部分を指します。一定の利潤を残しつつ、企業が安定して経営ができるように考えます。
譲渡後の従業員について考えるポイント
調剤薬局は薬剤師などの専門職の従業員がほとんどなので、従業員も含めてM&Aが実行されることがあります。譲渡を検討する場合、気を付けたいことは、企業で働く従業員のことです。企業の雰囲気が変わることによる従業員の不安を取り除くことは非常に重要です。毎日行っているルーティンワークの順番が変更したり、上司の顔触れが変わることをストレスと感じる場合もあります。従業員のケアを行うことで、一定期間中に大量の従業員が離職する、というような事態を避けなければなりません。
調剤薬局は、薬剤師が扱える処方箋の数が決まっているため、専門の資格を持った従業員が、一定数必要です。それで、従業員が居心地の良い環境で仕事ができるように、フォローする必要があります。
従業員の福利厚生についても、事前によく相談します。給与や待遇、有給休暇などの取得といった具体的な条件がこれまでの調剤薬局の規定と変わりないように、しっかりと話し合いましょう。
譲渡先の企業を考える
譲渡先の企業を考える際、譲渡側の経営者の視点と、譲受側の企業の視点の両方を考えておくと、スムーズな譲渡が実行できます。様々なM&Aの事例があるため、まずインターネット、書籍、雑誌などを通して調査します。成功事例として紹介されているもの、経営者の観点から譲渡のポイントについて語っているインタビューなどは役立ちます。
従業員がM&A後、どのように変化に対応したか、待遇は変更したかという具体的な内容が掲載されているページもあります。譲受側の企業にとっても、M&Aの実施後のイメージが沸いてくるので、チェックしておくと良いです。